データ分析チームをつくろう(その2):どうやって現場に納得してもらうか

   

データ分析チームをつくろう(その2):どうやって現場に納得してもらうか

昨今、いわゆる “機械学習自動化ツール” といったような、「データを投入すると自動的に答えを出してくれます」などのソリューションが多くリリースされてきています。難しい統計のアルゴリズムなどを理解していなくても、その筋の権威のノウハウが詰め込まれたエンジンが自動的に答えを出してくれる、というものです。

別コラムでも何回か繰り返し述べてますが、AIプロジェクト、分析プロジェクトの成功の定義は、「業務の中で活用されて効果を得る」ことであり、高い精度の計算結果を得る事ではありません。もちろん統計処理自体を効率的にすることは意味のあることですので、このようなツールを活用することは有効です。ただ、ツールは計算結果は出してくれますが、それをどう業務に結びつけるかまでは教えてくれません。
計算結果をどう現場業務に結び付けて現場に提案できるかが、プロジェクト推進の大きなカギになります。

「成約率が高い案件を分析したところ、見積もりの出し直しを何回か繰り返した例が多くありました。なので見積もりを複数回出した案件が成約率が高くなります」
といった分析報告を営業部門にしたとしましょう。

予想される反応は、「そんなの当たり前だ。見積もりの出し直しというのは顧客が関心をもっている、ということだからそんなのはわかりきっている」となるでしょう。ここでひるんではいけません。
「何回出しなおせば成約率が上がるかわかりますか?」
「分析の結果では5回以上出しなおすか否かで、成約率に2倍以上の大きな開きが出ます」
「逆に7回以上はいくら出してもあまり成約率に差はありません」
「よって、5回目まではあきらめず提案をした方が良いと判断できます」

さらに顧客のプロファイルによる特性や、商品別に見た特性などを加えることができればさらに説得力のある現場への提案になります。

現場から見て当たり前という分析結果であればあるほど、実は現場に近い正しい分析と言えます。経験値と全く違った分析結果をそもそも現場の人が納得するはずがありません。95%は当たり前の結果でも、5%の新しい気づきがあれば、それは現場に則した貴重な気づきになり得ます。
優れたツールの結果を生かすか否かは、実はこのような現場とのコミュニケーションがひじょうに重要になります。