「SPSS早わかり」統計からビッグデータ分析まで。様々なシーンで使える分析環境(その2):Modeler Server編
はじめに
IBM SPSSは統計解析や予測分析を行うソフトウェアの製品群です。
SPSS製品ファミリーが今ひとつ理解しづらい、とか、分析資産の一元管理や分析結果を運用する仕組みはどうすれば良いのか、
などというご質問が多くありました。
そのような声にお応えするべく、分析から運用までをサポートするSPSS製品ファミリーの機能内容を実際の画面イメージをご覧頂きながら、ご紹介する全5回のコラム、スタートです。
第2回はIBM SPSS Modeler Serverについて紹介します。
「大量データを分析するにはPCの性能が不安」「分析処理中はPCの動作が重くなって他の作業ができなくなる」
分析処理を実行するとPCのリソースを多く使用します。高性能なPCを使用していれば問題はありませんが、会社支給品のPCで性能は控えめだという方も多いと思います。十分な性能のPCを用意できないと分析処理が終了するまでに時間が多く掛かったり、PCの動作が重くなって他の作業ができなくなったり、そもそも分析処理がフリーズしてしまうなど様々な問題が発生します。
SPSS Modelerでも複雑な分析処理や大量データの処理を行うとマシンリソースを多く使用します。しかし、十分な性能のPCを用意できない場合はSPSS Modelerの利用は難しいかというとそうではありません。分析処理専門のサーバを用意することで分析処理の負荷を軽減することがSPSS Modelerでは可能です。
IBM SPSS Modeler Serverとは
IBM SPSS Modeler Server(以下、Modeler Server)はSPSS Modelerの分析処理専門のサーバ製品です。クライアント-サーバ構成でSPSS Modelerを使用することができるのでクライアント側の負担は大きく軽減します。
分析処理作成と結果表示はクライアント側、分析処理実行はサーバ側で行います。また、DBへの読み書きもサーバ側が担当するので、DB接続設定もサーバ側にのみ施しておけば問題ありません。ファイルへの読み書きもサーバ側が担当するので、サーバ側からアクセス可能な場所にしかファイル読み書きができない点に注意が必要です。
Modeler Serverを使用すれば高負荷な分析処理は高性能なサーバマシンに行わせるので効率よく分析業務を進めることができます。
Modeler Serverの構築環境はオンプレミスだけでなく、AWSやMicrosoft Azureなど主要クラウドサービスに対応しています。
IBM SPSS Modeler Serverへの接続方法
Modeler Serverを使用するのにそれほど難しい操作は必要ありません。
SPSS ModelerからModeler Serverへ接続する方法を紹介します。
1.SPSS Modelerの左下の「サーバー:ローカル サーバー」をクリックします。
2.「サーバー へのログイン」ウィンドウが表示されるので接続先Modeler Serverを選択します。
ユーザーIDとパスワードを入力して「OK」をクリックします。
接続先Modeler Serverが一覧に表示されていない場合は「追加…」ボタンからリストに追加することができます。
3.ログインが成功するとSPSS Modelerの左下にログイン中のModeler Serverが表示されます。
これでModeler Serverを利用している状態となります。Modeler Serverに接続していてもSPSS Modelerの操作感は変わらないので、いつも通りの操作で分析処理の作成や実行が行えます(分析処理を実行している環境がModeler Serverに変わるだけです)。
【上級編】IBM SPSS Modeler Batchの活用
ここからはModeler Serverの付属製品であるSPSS Modeler Batchについて紹介します。
SPSS Modeler Batchを用いるとSPSS Modelerで作成した分析処理をOSコマンドで実行することができます。
OSコマンドで実行できるということは
- 手製のプログラムに分析処理を組み込む
- 分析処理を夜間バッチ処理に組み込む
というような用途で使用できるということです。
SPSS Modeler Batchの概要はこんなイメージです。
最後に
SPSS Modeler単品でも分析業務を行うことは可能ですが、以下の条件に当てはまるならModeler Serverの使用を推奨します。
- 分析業務を始めたいが分析チームのPC性能に不安がある or 大量データや複雑な分析を行う予定で高性能な環境が必要である
- 分析処理をプログラムや夜間バッチ処理に組み込みたい
上記の条件に当てはまるならModeler Serverの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
次回はIBM SPSS Collaboration and Deployment Servicesについて解説します。
・関連記事(弊社製品紹介ページ)
https://www.ait-solution.jp/ai365/spss_modeler/
https://www.ait-solution.jp/ai365/spss_statistics/
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https://www.ait-solution.jp/ai365/deta_nalysis_support_service/
以下はあるお客様の実例です。リアルタイムスコアリングシステムを構築した経緯をご覧いただけます。